引き際について考えた

「自分の長編アニメーションの時代ははっきり終わった。」
「風立ちぬ」の会見で、宮崎駿監督が言っていました。
監督はこの作品を最後にスタジオジブリを引退しました。

何かを始めることより、何かをやめることの方が困難に思います。
坂の上から岩を転がすとき、最初は大きなエネルギーがいりますが、テコを使ったり(コツ、ノウハウ)、人の手を借りたり(コネクション)すれば、案外すんなり動き出すものです。
しかし、一度転がり出した岩を止めるとなると、コツやコネがあってもすごく大変です。
転がる勢いが強ければ強いほど、止めるときに大きな力が必要です。

宮崎駿監督が一から作り上げ、情熱を注いできたスタジオジブリへの関与をやめるということは、僕には想像もできないほど大きなエネルギーと決心が必要だったと思います。
会見の発言を聞いたとき、素直に「ステキだな」と感じました。

何か新しいことに挑戦したり、行動をスタートさせることもすごいことですし、それをできる人はそんなに多くはありません。
でも自分で終わりを決め、次に託すことができる人は、もっと少ないように感じます。
予期せぬ要因で突然変わらざるを得なくなり、一時的に(あるいは長く)場が混乱するというのはよく聞く話ですし、自分も体験しているので身に染みています。

また、自分が時間と情熱をかけてきたものほど、手放し難いものです。
しかし、それは組織の私物化につながり、特に、ウチのようなオーナー経営では周りが口出しをしづらいため、やはり引き際をズルズルと伸ばしがちなので、より「自分で終わりを決める」ということが重要だと考えています。

きちんと次へ引き継ぐための準備があれば、よりスムーズにバトンを渡すことができ、お互い気持ちがいいと思うので、今のうちから次に手渡すこと、自分から手放すことを頭の片隅に置きながら、会社づくりをしていこうと思っています。

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