山は、笑った

2月11日の建国記念日に当社で行ったイベント、「やまわらう」が無事に終わりました。
「何人、来てくれるかなぁ…」、「10人以下だったら寂しいね…」との心配をよそに、正面入り口の土間は脱いだ靴が一杯で、私は外から中を覗く状況。
もっとも、夫婦と子供2人が来てくれればそれだけで4名ですが、目標の50名は超えて、大盛況と言えるでしょう。
嬉しかったのは小さな子供連れが多かったこと。そして親たちは壁に立てかけてあるスギの羽目板やフローリング、挽き材に興味を示し、スリッパも無しに床に座り込んでの作業なのに、「杉の床って、温かいですね!」、「床暖房はしていないンでしょう?」と聞いてきました。床暖房どころか、20畳を超える部屋はペレットストーブ1台。それだけで十分に暖かいのです。
これがすぐに実需に結び付くなどと簡単には考えていませんが、新木場に来たこともない人たちがたくさん集まってくれて、直接、千葉県産の山武スギに触れてもらうことは大切なことだと思います。
産地県は大量に木材があるから、とにかくそれを伐採して大量消費することが最優先課題。木材の乾燥は中温・高温に頼らざるを得ないし、価格競争に巻き込まれやすい。
でも、山武スギは仕入れルートを確保するのが大変なほど流通量が少なく、しかも「乾きにくい」、「「丈夫だが、他県産のスギより重い」、「死節、抜け節が多い」など、けっして評判の良い材ではありません。中には江戸時代に植えられた樹齢200年を超える立派な材もあり、それらを扱う人たちの中には「山武スギは高級材である」と言ってくれる人もいますが、原木市場に行くと、それらの優良木を買って行くのは他県の人たち…(笑)
零細な製材工場がほとんどで、言われなくても地産地消で県外に出荷されることはあまりありません。
せっかく脂分が強く、超仕上げカンナをかけるだけで塗装したように艶が出て、適度な固さゆえ、フローリングには最適なスギなのに、首都圏で使ってもらえないのは寂し過ぎる…
幸い、当社の低温乾燥器「愛工房」なら、乾きにくいという欠点は解決できます。白アリに強いタンニンや酸化鉄が多いため、乾いても重いんですが…
一歩ずつの取り組みですが、地道に山武スギを普及させていこうと考えています。山に笑ってもらうために。