下からの需要拡大

前回、補助金や指導など国や地方自治体主導の国産材需要拡大策は、そろそろ限界が見えて来ているのではないかと書きました。しかし、今のままでは木質バイオマス発電用の需要が増え、それがシェアにカウントされたとしても、シェア35%程度が限界で、40%、さらに最終目標であるシェア50%を達成するのは難しいと思います。
上から「もっとお米を食べましょう!」と盛んにPRした上から「もっとお米を食べましょう!」と盛んに時期がありましたが、たいした効果はありませんでした。以前、売れる物、欲しい物」のタイトルでブログを書きましたが、消費者が欲しくない、食べたくないと思っているものは、いくら金を使ってPRしても売れません。欲しい、食べたいと思うものを提供すれば、無理をしなくても売れます。お米に関して言えば、「米」という品物を売るのではなく、それを調理した美味しい料理のレシピをPRすれば、それを食べてみたいと思った人は、当然、お米を買いに行きます。
上からの需要拡大策には限界があります。これからは木材にしても食糧にしても、消費者が欲しいと心から思うようなPRの仕方を考え、下からの需要拡大策を実施していく必要があると思います。
家を建てる人が、やはり使う木材は国産材だよねと言ってくれれば、住宅メーカーはダメです、嫌ですとは言えません。資材選択の主導権は施主にあります。そこで当社は売り込む相手を工務店、設計事務所ではなく、消費者を中心にすることにしました。
所詮、当社が生産できる内装材の量には限界があります。低温乾燥機、「愛工房」で乾燥できる量が最大で150~200立方。しかも最近は愛工房の評判を聞きつけて千葉県内や遠くは岩手県からも賃乾燥の注文が来るので、当社が販売できる量は100~150立方だと思います。
高くても良いから、安心、安全で健康的な無農薬・有機農法の、作った人の顔の見える野菜が食べたい。高くても育てた畜産業者までトレースできる、本物の牛肉、豚肉が食べたいと言う人たちはいるのですから、何十年も住む家に信頼の出来る安心で健康的な木材を使いたいと言う人は必ずいるはずです。
従来、国産材は外材と価格で勝負しようとして失敗しました。その結果、タダ同然と言われる山の木が残っただけです。当社はお客様に、国産材を使って下さい、山武スギを買って下さいと頭を下げるようなことは一切しません。もちろん、ふんぞり返って売るつもりはありませんが、「売ってもらえますか?」の一言を待つつもりです。時間は掛かるだろうとは思いますが、家を建てる人たちが欲しがる木材を提供していくつもりです。