物づくりの原点

横浜市でマンションの杭の手抜き工事が大問題となっています。しかし、建築や資材に関わる人たちは誰も口にはしなくても、一般住宅からマンションなどの大型施設に至るまで、契約から完成・引き渡しまでの間に何の手抜きも過失も無く建てられる方が稀であると思っています。
その大きな原因は下請けに丸投げする業界体質です。納期と予算だけはシッカリと守らせ、コストは叩けるだけ叩く。そもそも、自社で施工するよりも下請けに出した方が安いと言うことに疑問を持つ人はいないのでしょうか?
大手企業では正社員の給与は高い。だから下請けに投げた方が安く付く。一見、もっともらしい意見です。しかし、それは管理・監督に関しては元請けの責任としてシッカリとチェックすることが大前提で、それをも投げてしまったのでは責任放棄も甚だしい。
「大手だから、信用していたのに…」今回も何度も耳にした言葉です。しかし、私は大手だから信用できないと、昔から思っていました。腕の良い大工さんや職人さんとの接点が多かったからかも知れません。彼らは自分たちが使用する道具の手入れから資材の調達など、関われる範囲で自分たちの行う仕事に関わろうとします。責任が全て、自分自身にあることを自覚しているからなのでしょう。
当社も、フローリングや羽目板などの内装材は丸太の段階から自分たちの目で見て仕入れ、製材も賃挽きではありますが立ち会って細かく指示、チェックします。乾燥も低温乾燥機、「愛工房」を使って自信の持てる含水率にまで落とします。
生産量からしてさすがに実加工については下請けの木工所に出さないわけには行きませんが、加工が出来上がったものは再検品してから出荷しています。責任生産、責任販売が基本であり、物づくりの原点なのだと信じています。だから、何でもかんでも下請けに丸投げしてしまう現在の生産方式に、大いなる疑問を感じざるを得ません。アレは何か起きた場合、責任を擦り付け合う無責任生産方式だと考えています。