「もったいない」は、言葉ではない

日本人の「もったいない」という言葉が、世界各地でも素晴らしいと賛美され、使われるようになってきました。でも、本当に今の日本人には「もったいない精神」は受け継がれているのでしょうか?「もったいない」は言葉ではなく、心の在り方、生き方です。
物が豊かになり、直して使い続けるよりも買い替えた方が早いし安いなどと言う時代になってしまいました。電気製品でも家具でも、身の回りの物は壊れると簡単に捨てられて買い替えられてしまいます。
物価が上がった方が良いとは言いませんが、もっと物の値段が高ければ大切に使い続けようと思う気持ちも出て来るのではないでしょうか。食料品も消費税を軽減することも良いですが、無駄にしないことの方が大事だと思っています。
これは日本に限ったことではなく、アメリカはじめ先進諸国には共通した価値観なのかも知れませんが、少なくとも諸外国の方が物を大切にしている気がします。住宅など特にそうで、日本の住宅が26年程度で壊され、建替えられていると言う現状も、昔では考えられなかったことです。修理しながら最低でも50年、60年と住み続けられてきました。
修理してでも長く住もうと言う気持ちが無い限り、「長期優良住宅」など掛け声だけで終わってしまいます。建てている方も本気で80年も90年も住み続けられる家を建てようと言う気はありません。と言うよりも、昭和40年代以降、使い捨て住宅を作り続けて来たために、本当に長持ちする家には何が必要なのかさえわからなくなってしまっているのです。
工法だけは様々なものが出て来て、省エネ性能などは間違いなく進歩しました。しかし、その陰で長持ちする住宅の秘訣やノウハウが、どんどん失われてしまったように思えてなりません。
ようやく、古い民家を改築して住みたいと言う若者が出て来ました。このような人たちが増えてくれれば、日本は本当の意味での「もったいない」文化が甦るのだろうと期待しています。