「もったいない」の功罪

今まで会社敷地内の奥や、倉庫の奥に、いつ売れるか、いや、売れるかどうかすらわからない(不良)在庫の山が、いくつもありました。
私の父、前々社長時代からの遺物で、置いてあっても歴史遺産に登録されるわけでもない、いわゆる倉庫の肥やし、置き場の肥やしです。
前社長である私が処分の決断をすべきだったのでしょうが、私が社長時代には父も会社に出て来ており、古い社員も価値のある材だと主張し、処分を切り出せずに年月だけが過ぎていきました。優柔不断だったと反省しています。
新社長の長男は合理主義者で、そんな不良在庫は早々に処分し、空いたスペースをもっと有効に利用すべきだと、今回、同じ新木場にある廃材をチップにし、ボードを作っているメーカーに無料で引き取ってもらうことにし、倉庫内も古材の置き場になっていた敷地の奥の部分も、ずいぶんスッキリしました。
暇を見てカットし、我が家の薪ストーブの薪にと考えたこともありましたが、ひと冬に燃やす薪の量からしても多過ぎて、いつ処分が終わるかわからない…むしろ、ボードに再生してもらう方が、よほど有効利用です。
「高級材も入っており、チップにするなんてもったいない」と、50年間当社に勤め、今年の初めに辞めた社員は言いますが、倉庫や置き場の肥やしにしておく方が、よほどもったいない。新社長の決断は正しいと思い、頭が下がります。作業してくれた、新しく入った社員にも感謝しています。
「もったいない」という心掛けは大切ですが、そのために捨てることが出来ずゴミ屋敷になってしまうように、会社でも「本当のもったいないとは何なのか」を考え、処分すべきものは処分するという決断が大切だと、あらためて思いました。